「、大丈夫か?」 おしぼりを手渡してくれた山本になんとか笑って、あたしはごめん、と呟いた。 「きもちわるいかもしれないけど、あたし、本当にハルのことが好きなの」 「いや、しってっけど・・・なんできもちわるいってことになんだ?」 ニカっと笑ってくれる山本に、あたしは何だか言うのがすごく怖かった。 (多分、その笑顔がハルに似ているからかもしれない) 「違う」 下唇を噛み締めた。 きもちわるい女だ、なんてハルに似た笑顔の山本に見られるのはショックかもしれない。 ハルに似た笑顔が歪んでしまうなんて、耐えられないかもしれない。 「あたし、ハルのこと恋愛感情で好きなの」 「え?」 山本の声が止まった。 あたしは急いで俯いて、歪んでしまうだろう顔を見ないようにした。 「ごめん、きもちわるいよね。本当きもちわるいと思うけど、内緒にしてて」 お茶、おいしかったです。ごめん。 何か言われるのが怖くて怖くて、あたしは急いで足早にお店を出た。 さっき居た公園まで急いで走った。 どうしよう。 どうしようどうしようどうしよう!! ついに、誰かに言ってしまった!! あの手もお茶も優しくて暖かくて、ついつい言わなくていいことまでポロリと漏らしてしまった。 どうしよう! 「」 ポンと肩を叩かれて反射的に顔を上げると、そこには山本がいた。 あ、しまった・・・と思ったけど、山本の顔は相変わらずあのハルに似た笑顔だった。 「よしよし」 口で言うのってどうなのって思ったけど、山本が優しくあたしの頭を撫でてくれた。 「きもち、わるくないの?」 ヒクリと喉が震えてしまって、少しどころじゃなくて声が震えた。 「きもちわるくなんかねぇって。好きなのがたまたま女の子ってだけだろ?」 よしよしと頭を撫でてくれた腕は、背中をさすってくれて、最後には抱きしめてくれた。 あたしの涙がどんどんと溢れてるせいだったんだろう。 あたしはポロポロと泣いてしまって、山本はそんなあたしをずっと抱きしめていてくれた(暖かくて、まるで太陽みたいに笑いながら)。 「・・・ごめん」 ドップリと公園が暗くなってしまった・・・。 だけど、山本は気にすんなって笑ってくれて、家まで送ってくれた。 「山本ありがとう!大好きだよ!ハルの次に!」 涙ではれぼったくなった目で笑うと、山本が楽しそうに笑った。 「お、いきなり大昇格だな」 「一番はハルだけどね」 泣いてたことなんて忘れさせてくれるように笑う山本に、あたしも思いっきり笑った。 |