「・・・はぁ」
骸は目の前のソレに盛大に溜息を吐いた。


机の上に置いてあるのは、マイク、ノート、ノートパソコン。
先日、綱吉の幼馴染だという少女、から手渡されたものである。



「骸さん、どうしたんれすか?溜息吐いて」
ひょこり、と骸の座るソファの背中の方から、犬が顔を出した。
後ろに付いてきたのだろう髑髏も不思議そうな顔をしていた。

「あ!これノートパソコンれす!」
あとマイクもある!と飛びつこうとした犬を、骸は反射的に跳ね飛ばした。
そうして、飛ばした先で犬がピクピクと震えていた。


「犬、何でもかんでも飛びつくな、と僕は先日言ったばかりですよね」
それで物を壊したこと数回なんですから。
嗜めるように言うと、髑髏がおずおずと近づいてきた。


「骸様、多分、犬聞こえてない・・・。あの、それ・・・」
と髑髏の目線の向ける先には、やっぱりノートパソコンとノートとマイクがあって。


「・・・・・・・・・」

もう一度、骸は盛大に溜息を吐いた。
何故僕がそんなことをしなくちゃいけないんです。

第一勝手に押し付けてきたのは向こうの方なのだから、放置しておけばいい。
僕にメリットがない分、反論なんてできない。

ノートをパラリと開いた。


『とりあえず軽く自己紹介。
あとはきめ台詞みたいなのをよろしく!
適当に雑談とか入れてくれて、1時間くらいの長さでよろしく』


「・・・台、本?」
なんですか?これ。
パラパラと先を捲っても真っ白で、骸は溜息を吐いた。


普通、こういうのは色々なセリフが入ってるものじゃないんですか。
何度捲ってみてもページは真っ白でクラリと眩暈がしそうになる。


「僕の声、ねぇ」
溜息を吐いた。


決して媚びる女の目ではなく、むしろ男らしい清々しいほどの目。
ノートパソコンを壊すとか、そんな考えにはいたらないのだろうか、と思う。


出逢ったばかりだというのに、仲間に組み入れた瞬間絶大に信頼する。



「・・・確かに、貴方の幼馴染ですよ、綱吉君」
3つ全部を持って立ち上がった。


やっと復活した犬と髑髏と千種に振り返る。



「今日は僕の部屋に近寄らないで下さいね」
音、立てたら怒りますよ?


ニッコリと笑って、骸は部屋の扉を閉めた。





これは気まぐれ



( そういえば幼馴染って似るものでしたっけ・・・? )