「・・・」

あたしは思わず六道をキラキラした目で見つめてしまった。
六道は何だか気まずそうな顔で目を逸らしたけど。



「うっわ、マジでっ!?録音してくれたの!?ありがとー!!」
壊されるとは思ってなかったけど、そういう可能性もあるだろうなーって思ってたノートパソコンは綺麗なまま帰ってきた。

「別に。僕はサービス精神旺盛なイタリア紳士ですから」
「それって自分で言うことじゃないよな、六道。いや、でもありがと!ウォークマンに入れる!」

パソコンから音楽を入れるウォークマンを取り出して、パソコンに繋いだ。
再生して利いてみたいけど、多分ここ(教室の中)で再生したら怒られそうな気がするから止めとこう。

ピッタリ1時間なそれをパソコンに移して、あたしはやっと来た綱吉の背中を叩いた。


「さんきゅう!綱吉!わが幼馴染よ!あんたと幼馴染になって嬉しかったのは今日くらいさ!」
「今日だけかよっ!つーか何?」
綱吉は突然のあたしの言葉に訳がわからなかったみたいで、パソコンを見せてやると「えぇ!?」と叫んだ。



「む、む、骸がっ!?ご、獄寺君!明日は突然変異で雪が降るかもしれないっ!避難の準備をっ!」
「分かりました十代目!!」
お前何ボケしてるんだ、と思ってたら本気でビビってたみたいだった。

普段どんな対応してるわけ、六道。



「・・・君達、本当に雪を降らせて上げましょうか?豪雪で」
クハハハハとどこか壊れたように六道が笑った。

どうやら、六道は天気を操れるらしい。



小さな音がして、音が全部ウォークマンに入ったみたいで、あたしはノートパソコンの電源を落とした。
うん、よしよし。

ちょっとだけ再生して入ってることを確認して、あたしはウォークマンをおさめる。


六道本人が喋ってるときは生聞いてたほうがいいし。
一緒にいる発言をした通り、あたしは綱吉の近くに座っていた。


あと、獄寺君に綱吉の好きなものをあげて仲良くなったり(多分犬の耳が生えていた)、山本の黒は実は天然だということを知ったり。まぁ、それが昨日六道に声のことを頼んだ日のことだったりするんだけど(えらく短期間だな、おい)。




「それにしても、何で声なわけ?」
いつのまにじゃれ合いが終わったんだろう。
気付いたら綱吉が鞄から筆記用具とかを出しながら言った。


「そりゃ、が声フェ」
「だから黙れっつてんだろ、山本武」
あっはっはと爽やか全開で言った山本には低い声で制裁をくだしておく。


うーん、声、な理由。
というか好きなものに理由なんているの?って言いたいところだけど、そんな別に乙女キャラじゃないし。

声な理由、ねぇ。


「髪は女顔負けのサラサラヘアーだし、お肌もツルツル。目も切れ長顔も格好いい、身長も高くて、まぁ髪型あれだけど、マイナス要素がないじゃん」
とりあえず六道を容姿で貶せる部分って、髪型くらいだと思うし。
むしろ貶せないほどにある意味似合ってるし。

「一番本物なのが声だったんだよ」





貴方の“声”が好き



( それはたった一つ、本物だって思えるものだから )