「う、う、う、浮気ですぅうう!!!」
「何がだよっ!!」


校門で待ってた三浦ハルって女の子が、あたしを見た瞬間に叫んだ。
お、綱吉恋人なんていたんだ。


「誤解しないで、三浦さん。あたし綱吉好みじゃないから」
「は、はひ・・・?そうだったんですか・・・ハル誤解しちゃったみたいで・・・」
ハルって呼んでください!というハルとガシっと手を握った。


「いやー、それにしても、ついに綱吉に彼女が出来てたなんて。水臭いなぁ」
ちょっと乾いた笑いをすると、綱吉が慌てたように言った。


「違うから!別に彼女じゃないし!浮気とか叫ぶなよな、ハル。校門なんだから一杯人がいるんだぞ?」
「はひぃ。そうでした」
め!と子どもをしつけるみたいに綱吉が言った。

お前、同年齢の女の子にそれは無いだろ、と思ったけど誰も何にも言わないから放置しておく。


六道は先にバイクで帰ったらしい。
バイクってヒバリみたいじゃんって言うと、あの二人はツーリング仲間だから、と綱吉が変な顔して笑った。

ツーリング仲間って、ついに群れたのかヒバリ。

ちょっと驚いてると、いつのまにやら家の前だった。



あたしの家は綱吉の隣の家。

そういえば奈々さんにあいたいなぁって思ったけど、それよりも鞄の中のウォークマンのほうが優先だ。
ぎゃいぎゃい言いながら綱吉の家に入っていく4人に手を振って、あたしは部屋に駆け込んだ。


ボスンとベットに飛び込んで、鞄からウォークマンを取り出して耳に当てる。




さて、1時間どんなことを話してくれるのやら。

台本って言っても、たったの三行、真ん中にどでんと書いたやつしかないから、多分かなり困ったんだと思う。
でも、台本読んで棒読みっていうのもつまんない。
ポチっと再生ボタンを押して、耳に意識を集中した。


『僕の名前は六道骸です。まぁ、仕方が無いので並盛に転校してきました』
流れ始めた声に、あたしはちょっと笑いそうになった。
仕方が無しなんだ、転校。


『そうですね、きめ台詞・・・』
ちょっと声が止まった。


まぁ、やっぱりきめ台詞なんてものはな、


『やはり「堕ちろ、そして巡れ」ですかね・・・いや、「終わるものか、巡るばかりか」でしょうか・・・それとも、「おもちゃ、ですかね」・・・?』



っ――――!!!あるのかよ、きめ台詞っ!!


思いっきり笑いが出そうになって、口を押さえた。
やばいやばい笑えるっ!


他にも様々な笑えるのやら普通なのやら、最後は一時間になった途端でブツリと切れた。


別に越えても良かったのに。
変な几帳面さっていうかこだわりにまたあたしは笑った。

六道って意外と面白いやつなんだなぁ・・・。


とりあえず、あの群れるの大嫌いヒバリとツーリング仲間ってことは覚えておこう(あわよくばヒバリをからかえるかもしれない)。





機械越しに届く声



( うん、もう一回繰り返して聞こう、っていうかリピートしまくろう、これ )