「リョーマくん、おひるつくるね」

昨日は籍をいれに行ったりお引っ越しだったりで忙しかったせいもあって(といっても荷物はほとんどないんだけど)、出前を取ったんだけど、今日は流石に作らないと!
うん、その・・・い、一応・・・お、奥さんってことになるんだし。
こ、心の中だけど言っちゃった・・・!!


「へえ、料理できるんだ」
「定番だけどね。肉じゃがとか、丼ものとか」
「・・・和食じゃん」
「いや、ほらあの、和食の方が料理できます!って感じがしない?」
なんとなくなイメージなんだけど、女の子が和食作れますって言うと、なんか凄い感じがするのって私だけかな、あれ。
「まあ、上手いかどうかはわかんないけどね」
「りょ、リョーマくん!食べる前からそういうこと言わないでよ!」
こ、これでもまずくはない!・・・はず。
流石にお母さんとかに比べれば下手だとは思うけど。

「リョーマくんは嫌いな食べ物とかはある?」
「いや・・・特にはないけど」
「そっか。それじゃあさっき冷蔵庫に魚あったし、時間も時間だから焼き魚にしよっか」
もう11時半だしね。今から煮込むのは味が染みないだろうし。
うーん、あとはお味噌汁と、真空パックに入ってるおつけものと、ほうれん草の胡麻和えで十分かな。
・・・なんか、こんなメニュー考えてると本当にお嫁さん、みたいな。

・・・うう、頬熱い。


「・・・なんか、」
「うん?」
ごはんは朝炊いておいたから、お魚を焼かないと、と思って出してると、突然リョーマくんが呟いた。
なんだろ。嫌いなものはないって言ってたから適当に作るけど、ひょっとして和食嫌いなのかな、リョーマくん。
「・・・まさに新婚っぽい、じゃん」
「うぇっ!」
にやり、と笑うリョーマくんの顔は卑怯だと思います!
う、うぅう・・・どうしよう、顔がさっきより絶対真っ赤になってる。耳まで熱くなってる・・・!!
「ねえ、。あーんとかやってみる?」
「りょ、リョーマくん!」
にやにやしてるけど、リョーマくん本当にストーカーに狙われてる自覚あるの!?ちょ、ちょっとおふざけが過ぎると怒るよ!私!
だ、だってこんなの、私にとって夢に見てるシチュエーションでしかないのに。
本当はずっと夢に見てきたけど、でも、叶うはずがないって思ってたことだから・・・うぅ、本当言うとやりたいですけども。
実は激しくやりたいですけども!





「そこスペル間違ってる」
「わ、わっつ!?」
あの後ご飯を食べて(リョーマくん的にお味はまあまあらしい)、それから宿題に取りかかった。高校生の宿題ってなんでこんなに多いんだろう・・・。
リョーマくんはテニス雑誌を読みながらこっちの中身も見てるらしくって、たまに間違いの指摘が入る。
「わっつ、じゃなくて、What?」
「う、うぅ・・・綺麗な発音ありがとうございます・・・」

ストーカーが・・・諦めてくれなかったらいいのに。
そうしたら、こうやってリョーマくんと結婚してたり、勉強を教えてもらったり、ずっとしてられるのに。
・・・勿論、そんなわけにはいかないし、早くストーカーには諦めてもらいたいんだけど。

・・・ごめんね、リョーマくん。





願いと祈りの相対性理論



( どうかこんな一日が、少しだけでもおおく、なんて )