「―――うわぁ」 「・・・・・・酷いね、これは」 ばさり、と分厚い封書の中身は私とリョーマくんのツーショット写真。計100枚。 いいな・・・ちょっと欲しい。―――勿論、私の顔がズタズタに切り裂かれてなければ。 丁度結婚して2週間もたち、その間も何度もあの真っ赤な字で書かれた手紙とか、離婚届けだとかが送られてきたんだけども。 うんともすんとも反応しない私たちにストーカーは方向性を変えたのか、送られてきたのは100枚もの写真だった。 「これ、全部手作業かな・・・」 「なんで着眼点がそこなわけ」 ぴしっとリョーマくんが私の額を叩く。 ええ?だって、100枚もあるんだよ?これ一枚一枚カッターでズタボロにするってよっぽどの執念がないとできないと思うんだ。 「巻き込んだ俺が言うのもなんだけど・・・って、動揺しないんだ」 「うーん、なんていうか、テレビの中のことみたいな感じがして・・・あ、一人だと危ないってのはわかってるんだけど」 外に出る時は絶対にリョーマくんと一緒に出てるし、どんなに短時間でも一人じゃでないようにしてるし。 だから実害と言えばあの手紙とかこういう写真なだけだし。 気をつけなくちゃいけないっていうのは分かってるんだけど・・・。 「・・・」 「リョーマくん?」 顔を上げると、リョーマくんがぽんぽん、と私の頭を撫でた。 これ好きだね、リョーマくん・・・いや、嬉しいんだけど。なんていうか、リョーマくんの背の高さに丁度合うらしくて、さり気なく何度も撫でられてる気がする・・・。 「明日は昼からでかけるから。も」 「私も?どこに行くの?」 「中・高ん時の先輩と待ち合わせしてんの。ちょっとね、相談したいことがあって」 中高、っていうと、青春学園の黄金期って呼ばれてたあの世代の人たちだ! 未だに青春学園で不動の伝説を残してるもんなぁ・・・。 「相談なのに、私も一緒でいいの?」 「このことについてだしね。それに、セキュリティはちゃんしてるっていっても、一人で置いとくのも心配だし」 うーん、一人で出かけたりはしないけどなぁ。 まあでも、一人で家にいるよりは外だろうとリョーマくんが一緒の方が安心できるんだけども。 「そういえば、聞き忘れてたけど、って好きな男いるわけ?」 「ぅえっ!?」 「―――って、まあいたら結婚なんてしないか、いくらでも」 いくら梓でも、って言い方が非常に気になるけど、確かに好きな人がいたりしたら、リョーマくんと結婚するわけないじゃない。 ・・・その、結婚相手のリョーマくんが好き、っていう以外には。 「は彼氏は出来たことあんの?」 「りょ、リョーマくん、突然何?彼氏なんて、できたことないよ」 私の男の子の基準って小さい時からリョーマくんだし・・・正直、今もリョーマくん以外好きになったことないし。 そりゃ、リョーマくんは彼女とかできたこととか、告白とか、あるんだろうけど・・・。 「ふーん・・・」 リョーマくんがじっとこっちを見てくる。 うぅ・・・何。この歳で付き合ったことがないって、そんなに変なことじゃないと思うんだけど・・・。わ、私リョーマくんと違ってごく普通の一般人ですから! 告白なんてめったに受けないし、告白なんてできないし。 「あ、これも保管しておいた方がいいんだよね」 「ん?ああ、らしいね」 私の顔とか体がズタボロにされた写真っていうのもなんか不気味だけども、一緒のところに保管しておこう、うん。 |