「あ!おっちびー!ここ、ここ!」

ファミレスに入った途端に大きな声で叫ぶのは・・・ええと、確かあの人って菊丸さん、って人だったっけ。
他にも何人かこっそり出回ってる写真で見たことのある顔がちらほらと。
えーっと、手塚さんに不二さんに、大石さん、かな。多分。
見た写真は皆高校の時のとかだけど、あんまり雰囲気変わってないし、多分合ってると思うんだけど・・・。

「っす」
「は、初めまして」
こっちは一方的に名前とかは知ってるっていっても、向こうは全然知らないんだし。
・・・流石、黄金期って言われるだけあって美形揃いだなぁ・・・。
「久しぶりだね、越前。・・・と、そっちは、」
「あ、えっと、です。初めまして」
「・・・
「いたっ!・・・な、なに?リョーマくん」
ぺしっと後頭部を叩かれた。
え、ええ?何、何で私今叩かれたの?
「籍入れたんだから、越前でしょ」
「・・・え?・・・あ、あっ、そ、そ、そう・・・です、ね・・・!」
う、うわぁ・・・!
籍入れたっていっても、苗字が変わったのを実感することってないから・・・そ、そっか、そうなるんだった・・・!!
う、うあぁ・・・や、やばい、顔が・・・!

「えぇ!?おチビ、いつ結婚したんだよー!普通先輩に報告するもんじゃにゃいの!?」
「ほらほら、落ち着いて英二。えーっと、とりあえず最初に結婚おめでとう、かな・・・?」
「どもっす」
「あ、あの、でも違くて、えっと、その・・・!」
「―――
「あ。そ、そっか・・・ごめんね?リョーマくん」
思わずストーカー対策のためなんですって言おうとしたけど、外だからストーカーさんがついてきてるかもしれないし。
ここでは言わない方がいいよね。

「・・・へえ。何かわけありなんだ。越前の家、でいいかな?」
「そっすね。・・・まあ、その前に先に飯食ってからっすっけど」
ああ、だからファミレスでお昼前になんだ・・・。
リョーマくんに背を押されて、窓側の方の椅子に座る。
「えー?越前ちで奥さんの料理とかじゃにゃいのー?」
「こら!英二。そんなこと言ったら迷惑だろ?・・・と、あ、俺は大石秀一郎。よろしくね、えーっと、ちゃん、でいいのかな?」
「あ、はい。でもちゃんでも、好きなように呼んでください」
確実に年下ですからね!
「俺、俺!俺は菊丸英二にゃ!よろしく、ちゃん」
「よろしくお願いします」
猫っぽいって聞いてたけど、猫なのってこの口調のことだったんだ・・・。
「僕は不二周助だよ。それで、こっちが」
「手塚国光だ。よろしく頼む」
「はい。よろしくお願いします」
えーっと、たしかこの手塚さん、がテニス部の部長なんだったっけ?グラウンドを走らせることで有名な・・・。
なんかこう伝説な人達と出会うと圧巻されるっていうか。

はどれにする?」
「んー・・・リョーマくんはどれとどれがいいの?」
「俺はこれとこれ」
「じゃあ半分こしよ」
リョーマくんは和食が好きならしくって、偶に洋食でも怒ったりはしないけど、和食の方が嬉しそうだ。
帰国子女だから、尚更和食が好きなのかな・・・。

「・・・ふふっ」
「不二さん?」
突然笑い声がして、顔をあげたらそれはお綺麗な、っていうか多分その辺の女の人より綺麗な顔をした不二さんが、楽しそうな笑みを浮かべてた。
「ごめんね。気にしないで?」
にっこりと笑ってるし、嫌な感じな笑い方じゃないから別にいいんだけど・・・。
うーん、何かおかしなことしたかなぁ。





初めまして、妻(仮)です



( 旦那様(仮)の先輩との初遭遇 )