「て、がみ・・・?」 下駄箱をあけると、そこにはいくつかの手紙があった。 これは・・・!ひょっとして日吉からの愛の手紙っ!? ・・・・・・・・あー、はいはい。そんなのあるわけないっていうのは分かってますから。 とりあえず、あたしはそれをピラリと開いてみた。 「『ブス』やなぁ」 「お、忍足先輩っ!?」 後ろから覗き込んできたのはエロ伊達眼鏡・・・じゃない、忍足先輩だった。 その忍足先輩の呼んだ通り手紙には筆で気合の篭った『ブス』の文字があって。 他のを開いてみると、『寸胴』とか『デブ』とか『目障り』とか。 ちょ、そりゃ細いわけじゃないけど、寸胴とかデブってほど酷くも無いわよ!・・・多分。 第一こんなの送ってくる女のほうが目障りってもんよ! 「もう一枚あるで?」 そうやって忍足先輩が取り出して開いたのは・・・。 「否定できないのが悲しいところだと思いません?」 「あははー、せやなー」 その手紙には『変態』と書いてあった(悲しきかな、否定は出来ないのよねー・・・)。 やっぱり、氷帝テニス部のファンか・・・。 うん、そりゃ来るだろうなーって思ってたよ。何ていっても先輩はあたしを苛めてくるから、他人から見ればじゃれてるように見えるだろうし。 「って、人が真剣に考えてる間にのしかからないでください!ジロちゃん先輩ですか!」 むしろジロちゃん先輩より異様に負荷がかかってんですよ。 っていうか、ほら、綺麗な女の子たちがあたしを睨んでるんですけど、っていうかあんた確信犯だろ、おい!! 「いややわー、俺はただちゃんの心が傷ついてるんやないかって心配してるだけやのに」 「ならさっさとどいてください。好きでもない男に密着されるという悲しい女心を思ってくださると非常に嬉しいんですけど」 のしかかってるし、さらに圧力かけてくるから、かなりピッタリ密着してるんですよ。 ファンなら泣いて喜ぶんだろうけど、あたしは全然嬉しくない(これが日吉だったら鼻血だして喜ぶのに・・・)。 「酷いなぁ。これでも俺知的美形で通っとるんやで?嬉しいやろ?」 「全く持って、これっぽっちもうれし・・・・・・・・・・・・・・・・嬉しいです、嬉しいです!っていうか、痛い痛いいたーい!!」 あたしの体は前には90度は無理なんですからっ! 散々謝ると漸く許してくれたようで、パっと体が離れた。 多分あたしがマネージャーを続ける限りこれはなくならないんだろうなぁ・・・。 それに先輩たちは止めようとすることよりも、むしろあおりそうだし(この程度だったら、の話だけど)。 「ふ、ふふふ・・・ふふふふふ」 いい、度胸だ・・・。 とりあえずこれは証拠物件として集めておこう。 こういうのって破いて捨てちゃったりとかする人がいるけど、訴えるときにはしっかりと証拠を握っておくんだぞ☆ まぁ、なんとなく予想は出来てたし。 あたしはそう思って鞄の中からビニール袋を取り出してその手紙を中にいれた。 何時の間にか忍足先輩は居なくなっていて、ふと校門の方を見ると日吉が見えて、あわてて手紙を入れたビニール袋を鞄の中に入れた。 負けてたまるもんですか! あたしはテニス部のマネージャーとして日吉を支えて、あわよくば日吉の奥さんになるんだから! ぐっと拳を握った。 「ふふふふ、あたしを敵にしたこと・・・後悔させてやる」 あたしはすぐに笑顔にかえて、やってきた日吉に大きく手を振った。 |